お箸を知る

お箸の使用素材

お箸の作法にも、いろいろな禁じ手があります。

マラス
別名ナンテンギリ、マスラなどと呼ばれ、イイギリ科の広葉樹です。耐久性に優れ、家具や建築材料にも使われます。ニューギニアから多く輸入されています。最近のお箸には一番多く使われている木材です。
黒檀(コクタン)
黒檀には本黒檀、縞黒檀、青黒檀などがあり、本黒檀はインド・スリランカで採れる真っ黒な木のことをいい、いまではなかなか採れません。最近では、縞目のある縞黒檀が使われるようになりました。縞黒檀も縞目が美しく、非常に硬い木材で丈夫で磨くと非常に美しい木目が浮び上がります。黒檀の中で、最も高級なのが青黒檀です。青黒檀はきめの細かい木肌が非常にさわり心地が良く、程よいしなりがあるので、お箸にした場合にも非常に使いやすいお箸ができます。しかし、年々入手困難な材料になってきています。
紫檀(シタン)
ローズウッドとも呼ばれ、主にタイ、インド、ブラジルなどから輸入されています。黒檀より赤みのある明るい色で木目がとても美しく、硬く、加工も困難です。黒檀同様に、良質な紫檀も年々入手が難しくなってきています。
たがや・鉄刀木・タガヤサン
タイ、インドなどから輸入されています。木肌は黒檀・紫檀に比べてやや粗いですが、磨くと美しい光沢が出ます。非常に硬い木材なので、加工は難しいですがとても丈夫です。なかには、木目の波模様がはっきりと出るものもあります。五角箸などで使われています。
ホオノキ(朴)
重さは軽く、削りやすく、狂いは少ない木材。漆器、下駄、家具など幅広い用途に使われています。日本各地に自生する落葉広葉樹です。
ブナ
世界遺産の白神山地のブナの原生林は有名。山の奥地に多く自生する落葉広葉樹。くるいやすい材質のため、しっかり乾燥させたものを使用しています。スキー板などにも使用されています。
桜は色合いも明るく美しく素朴な木箸の中では女性にお勧めです。くるいも少ない材料です。桜の枝を妊婦が持つと安産祈願になるという言い伝えがあります。
クワ
黄白色な部分と黄褐色の部分がある木材で、お箸にした場合も、色のばらつきが見られます。くるいも少なく加工しやすい材料です。和家具、茶道具などにも使用されます。日本各地に自生する落葉広葉樹。
クリ
タンニンを多く含むため、年月がたつと色が濃くなります。年輪がはっきりしているので拭き漆を塗ると木目がはっきりしてとてもきれいです。非常に硬い木材なので、加工するのがとても難しいです。
あすなろ(翌檜)
別名ヒバ、アテとも呼ばれます。「明日ひのきになろ」という言葉からあすなろと呼ばれるようになりました。軽く、加工もしやすい材料です。輪島塗箸でよく使われています。日本各地に自生する常緑針葉樹。
煤竹
古い日本家屋の囲炉裏の煤で長い間かけて燻された竹のことです。なんとも美しい飴色をしています。色の濃いものには、100年、200年という年月がかかっているものもあります。煤竹は、一般的な真竹、白竹より粘りがあり丈夫で、箸先にもしなりがあり使い心地が良いです。
黒柿
黒色の縞模様や濃淡がある柿木のことを言い、甘柿のこともあれば、渋柿の場合もあります。この独特な模様が出るためには、樹齢を重ねた木であると共に、土壌に含まれる金属や微生物の働きなどが必要となります。なかなか美しい模様の入った材料が無いため、希少な木材です。独特な黒柿の風合いをお楽しみください。
象牙
1989年以降ワシントン条約により、輸入が禁止されました。現在、日本国内流通のほとんどが条約以前に輸入されたものです。象牙の箸は、中国の皇帝も使っていたとされ、昔から高級品でした。象牙のお箸も高級ですが、一生お使いいただける逸品です。使っていくと黄ばんできますが、これも象牙の変化の特徴で、白くしたい場合は、食器やふきんの漂白剤を薄めてつけておけば白くなります。しかし、稀に漂白剤によって傷む場合もありますので、どうしても気になる場合のみにお勧めします。