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〜漆の話〜

箸と日本人

2021.03.27

その美しさと実用性の秘密日本人なら当たり前のように使っている漆が塗られた道具たち。箸はもちろん、器やお膳などの日本の食のシーンには欠かせない存在です。

残念ながら漆器を日常的に使っているという家庭は少なくなってきたようですが、それでも1歩外に出れば、近所の蕎麦屋、居酒屋、和食屋で容易にお目にかかることができます。日本人にとってはさほど特別な存在ではない漆も、世界に目を向ければ、漆器のことを海外では「JAPAN」と呼ぶように、昔から昔日本が世界に誇ってきた特産品です。

漆の木

幾度も幾度も漆を塗り重ね、ものによっては1年がかりで仕上げるという漆の世界。鈍く光る漆器の曲線の縁を眺めていると、思わず吸い込まれそうになるほどの美しさを感じます。

そんな漆と日本人との関係は、なんと縄文時代から。当時の遺跡から漆を塗った食器が数多く出土しています。ところで意外に思われるかもしれませんが、塗り箸が一般的に使われるようになったのは、わりと最近の話です。塗り箸が世の中に本格的に登場するようになったのは江戸時代になってからで、若狭小浜藩でつくられたのが始まりとされています。当時は大名武家の間で使われ、全国に普及したのは、明治に入り日清戦争後といわれています。

〜抜きん出た耐久性を持つ塗料〜

漆とは、漆科植物の漆の木から採った樹液です。漆の木は日本や中国、韓国、ベトナムなどアジア地域に自生しています。現在、日本で使用されている漆の多くは輸入に頼っています。

植林の様子

国産の漆は色に深みがあり、非常に品質が良いのですが、漆を採集する職人(漆掻き職人)が少なくなっていることもあり、大変貴重なものになっています。現在、国内で漆が採れる産地は、青森、岩手、秋田、石川、長野、岐阜、福井、新潟、茨城などです。漆の木は育てることが難しく、近年では植林もされていますが、漆を採集できるようになるまでは、早くて10年以上もの歳月を要します。
さらには、1本の漆の器から取れる漆の量はわずか200グラムほど。そんな貴重な国産漆が高価なものになってしまうのは、しかたがないのかもしれません。

漆掻き職人の技

漆のすごさは「美」だけにあるわけではありません。実用面でも大変優れた特性を持ちあわせています。漆は、室内や地中など紫外線が当たらない環境では、4〜5000年もつとさえいわれています。酸性にもアルカリ性にも強いうえ、高温、低温にも耐えられます。耐久性においては、現在開発されるどの人工塗料よりも優れているといえるでしょう。漆の強さの秘密は、乾くというよりも固まるというその性質にあります。
空気中の酸素により、主成分であるウルシオールが酸化することによって、液体から固体に変化し硬化するからです。

生漆

〜全国の産地、さまざまな技法〜

漆の塗箸は、塗っては研ぎを何度も繰り返し、漆が塗り重ねられています。代表的なものは、輪島塗と若狭塗で、そのほか津軽塗、会津塗、川連塗、越前漆器、新潟漆器、浄法寺塗、村上堆朱塗、木曽塗、飛騨春慶塗などがありますが、青貝がはめこまれているもの、繊細な蒔絵が施されているものなど、見る者の目を存分に楽しませてくれます。漆塗というと黒、朱、溜色がポピュラーな色ですが、 朱色ひとつとっても、手がける職人によって微妙な違いがあり、それもまた漆の奥深い魅力のひとつです。

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