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2021年08月

  • 銀座本店 名入れ箸のご案内

    お知らせ

    2021.08.30

    平素より銀座夏野・小夏をご利用いただき、誠に有難うございます。

    8/29より銀座夏野本店の名入れ箸機械トラブルにより、納期を通常より長めに頂戴しております。

    青山店とスカイツリータウン・ソラマチ店の名入れ箸におきましては、通常通りのご案内を行っております。

    ご不便をお掛けし、誠に申し訳ないことでございます。

    納期など詳しくは店頭までお問合せ頂けますと幸いです。

    何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

    https://www.e-ohashi.com/shop/#a_ginza

  • 箸と手

    お知らせ

    2021.08.28

    正しい箸の持ち方は、手を美しく見せる

    炊きたてのごはんを海苔でくるりと包む。ふっくらと炊きあがったお豆をそっとつまむ。おろしたてのわさびを適量つまみ、醤油皿でとく。


    日本人が当たり前のようにこなすこうした箸使いは、やはり正しい箸を持ち(使い)方を習得していればこそ。「箸使いがちょっと苦手かも」という方は、これを機に、もう一度正しい箸を持ち(使い)方に挑戦してはみてはいかがでしょう。
    コツは、肩の力を抜いて「軽く持つ」ことです。


    (一)下側の一本の天が手から一センチ程度はみ出るようにし、薬指の爪の横と、親指と人差し指の股ではさみ込み、固定する。箸を使う際、この一本は固定したままで動かさない。


    (二)上側の一本は中指の爪の横にあて、親指と人差し指で軽くはさむように持つ。このとき上下の箸先が揃っていることが大切。また親指の先は人差し指の第一関節あたりで軽く固定されている感覚。


    (三)親指の先を支点にし、上側の一本だけ動かすようにして箸先の開閉を行う。親指を支点にし、人差し指で箸を軽く押さえる(人差し指・中指を軽く曲げる)ようにすると箸先は下がり、中指で箸を上げる(伸ばす)と箸先は上る。この繰り返しで箸先の開閉を行う。


    正しい箸の取り上げ方
    箸は膳の手前側に、箸先が左に向くように置きます。


    正しい箸の取り上げ方は、図の【一】から【四】の流れで、箸を戻すときは【四】から【一】と逆の手順になります。


    かしこまった席では、主人(目上)側が箸をとってから、もしくは「どうぞ」などの一言があってから、自分の箸をとるようにしましょう。

    高橋隆太(2014)おはしのおはなし(WAVE出版) p.50-p.52

  • 【オンラインショップ】お盆期間休業日のお知らせ

    お知らせ

    2021.08.13

    いつも銀座夏野・小夏オンラインショップをご利用頂き誠にありがとうございます。

    誠に勝手ながら、お盆期間の下記の日程でオンラインショップの出荷はお休みさせていただきます。

    【出荷休止期間  2021年8月14日(土)~8月16日(月)】

    又、生産数・在庫数に限りがある為、お盆期間前後についても出荷が遅れる場合がございます。

    ご迷惑をお掛け致しますが、商品到着日に余裕をもってご注文いただきますようお願い申し上げます。

    なお、在庫状況により納品日指定のご希望に添えない場合もございますので予めご了承願います。

    何卒宜しくお願い致します。

    銀座夏野・小夏 オンラインショップ

  • 若狭塗職人 羽田要一郎氏

    お知らせ

    2021.08.09

    伝統工芸士・羽田要一郎氏の塗り箸は、漆の色の深みといい、模様の出具合といい、溜息が出るほど美しく上品だ。

    若狭塗は、慶長年間(1596年から1614年)に小浜藩の松浦三十郎が中国の漆塗盆を模して作ったのが始まりと言われる。その弟子が海辺の貝殻と白砂の美しい若狭の景色を模様した磯草塗りを考案し、後年、卵殻金箔押しの技術が完成。寛永11年に小浜藩主となった酒井忠勝が「若狭塗」と命名し、保護蒋励したため漆塗業が盛んとなる。また時を同じくして、箸先が鶴のくちばしのように細い「若狭塗箸」を縁起の良い長命長寿の箸と称し、日本一のお箸の産地としての基礎を築いた。

    創業300年の老舗、羽田漆器店の13代目当主である羽田氏が心掛けていることは、
    「とにかく伝統通りにやること。基本通りにやる。これが間違いない。」漆塗表記があるからといって漆が必ずしも使われているとは限らないご時世だが、羽田さんは誤魔化すことなく本漆を使う。ここに伝統通りにやるという羽田さんの姿勢が現れているのだろう。

    伝統工芸士・羽田要一郎氏

    「伝統工芸に指定されているんで、かえっていい加減なことはできんのですわ。手を縛られてるようなもんで。ははは。これでいい加減にやってたら困りますしな。」

    若狭塗業界で最年長になったという羽田氏だが、非常に明快な語り口でとても昭和4年生まれの75歳とは思えない。まだまだ現役に見えるが、気掛かりな後継ぎに関しても心配はないようだ。


    「もう息子が一人前にできて、自分で考えて色々とやっています。息子のは少し柄が変わってるね。もう、ホントに若い人に頑張ってもらわんと。」

    高橋隆太(2003)究極のお箸(株式会社三省堂出版) p.120-p.121

  • 箸と日本人 

    お知らせ

    2021.08.06

    わたしたちの一生は「箸に始まり、箸に終わる」

    日本人の赤ちゃんは生まれてから百日後の「お食い初め」 (箸初め)で、初めて箸に触れます。人生の終わりには、この世で口にする最後の水、すなわち「死水」を箸で含ませられます。

    これらは「日本人の一生は箸に始まり、箸に終わる」と言われるゆえんでしょう。
    子どもたちが食べるものに一生苦労しないようにと願う「お食い初め」の儀式から始まるその“箸人生“。初節句、七五三、成人式と続く、人生の通過儀礼を祝う場では、「祝箸」と呼ばれる箸が供されます。祝い箸として使われるのは、柳の白木箸。春先に真っ先に芽吹く柳は昔から縁起の良い木とされ、白く清浄で強い木であることから邪気を払う霊木として扱われてきました。

    箸は生命の杖

    前途した「死水」のほかにも、火葬の際の「骨揚げ」という儀式では、竹と木が1本ずつで対になった箸を使い、つまんだ骨を「箸わたし」で送り、骨つぼに納めます。日常で異素材の箸を対にして使ったり、箸渡しを嫌うのはこのためです。また、死者の枕もとに供える「枕飯」 (一膳飯)には、「立て箸」「一本箸」など、「葬」にともなう箸があります。


    このように、箸は日本人の生誕から死まで付き添い、「晴れの日」にはその場にふさわしい箸が供され、「褻(ケ)の日」には木箸などふだん使いの箸が使われます。
    改めて日本人の一生と箸の関わり合いを見つめ直すと、箸をして「生命の杖」と言わせしめるものも納得できるのではないでしょうか。

    高橋隆太(2014)おはしのおはなし(WAVE出版) p.40-p.41

  • 箸職人 山田正義氏

    お知らせ

    2021.08.03

    180万膳のストーリー

    箸はどのようにして生まれるのか

    木箸職人・山田正義さんの仕事場に通うようになってから早十数年。今でも「銀座夏野」に新しいスタッフが変わるとそのスタッフを引き連れ、研修を兼ねつつ、山田さんのもとを訪れています。

    一膳の箸がどのようにして生まれるのか。

    一流の職人がどのようにして箸づくりと向き合っているのか。山田さんの工場を訪うことは、木箸作りの伝統を今日に受け継ぐ仕事ぶりに、間近で接することのできるまたとない機会を得るということです。今回は本書の取材ということもあり、山田さんに無理を言って箸作りの一連の流れを、一足飛びで見せていただくことにしました。
    いつ訪れても、 箸一膳が完成するまでにこれだけの“手”がかかっているのか、と感心させることしきりです。

    箸職人、ひと筋五十年

    ではまず、簡単に山田さんの紹介から。先代までは東京に工房を構え、山田さんの代になってから埼玉県児玉郡美里町で、現在の「山田箸製作所」を開かれました。

    「父親も母親も箸の職人でしたが、父親は何も教えてくれませんでしたね。まぁ、いわゆる“見て覚えろ“という昔気質の人でした」と話してくださった山田さんは、1944年の生まれで現在は70歳。この道50年と言う箸一筋の職人です。

    「若いころなら一日1,500膳ぐらいつくれていたけど、今は昔と違って工程も増えだから、昔の3分の2もいかないかなぁ。まぁ平均すると、年々35,000~36,000膳というところでしょうか。」

    山田さんはこんなふうに、こともなげに語ってはいたものの、少なく見積もっても36,000膳×50年で、これまでにざっと180万膳を手がけてきた計算になります。
    腕の良い職人は仕事が速いー。
    これからこれは今も昔も変わらないと思います。
    山田さんの仕事をはたで見ていると、その動きは実に小気味よく、リズミカルです。
    そして作業が興に乗ってくると、無駄な動きが一切なくなり、そのスピードはいったいどこまで速くなるんだろう、と感じてしまうなるほどです。

    丸太を挽くことから始まる

    山田さんの箸作りの特徴の一つは「丸太から始まる」こと。

    普通は「大割り」と呼ばれる板状に製材されたものだったり、あらかた箸の形状になっている「小割り」と呼ばれる材料だったりから箸作りを行うことが多いようです。簡単に言うと、仕上げだけ行う箸職人が多いということです。


    ところが山田さんは、丸太を挽いてまずはブロック状にし、さらにそこからブロックを挽いて板(大割り)にしていきます。
    丸太から始め、大割りを作るところからこなす職人は、全国的にみても数少ない存在です。

    「前に飛びますから気をつけてください」
    と言って山田さんが挽きはじめたのは「青黒檀」という極上の材料。
    実は箸の世界では最近、「いい“アオコク“がなかなか手にはいらない」と言われるほどの、特別な木です。
    ただし、厳密には「小割りになった“いいアオコク“がない」だけで、山田さんのように丸太から仕入れ、木目などを見ながら箸に適した材に挽く技術があれば、みごとに青黒檀の箸を作れるのです。

    木の中の、水の流れを読む

    次に山田さんが挽きはじめたのは「斧折樺(オノオレカンバ)」という木。「小割り」の作業の開始です。
    傍目には次から次へ、淡々と材を挽いているようにしか見えません。けれども山田さんは、時折材の向きを変えたりしながら、“何か“を素早く判断しつつ挽いていました。

    山田さんの手が止まった時を見計らって、わたしは「木目ですか?」と尋ねました。

    「ですね。後は道管です」と山田さんは答えました。
    道管とは、正確には「被子植物の維菅束の木部を構成する組織」のことですが、平たく言うと、根から吸収した水や養分を上部に送るための管のことです。

    挽いた材を見ると、木目とは別に線が走っています。この道管が将来的に、箸の「折れる・折れない」「反る・反らない」へとつながります。

    「こっちへこう木目が走っているでしょ。で、道管はこっちへこう走っている。こっから先が細くなっていて、ここから先は太くなっていてーー」
    と、山田さんはこの材をどう挽くべきなのかを、丁寧に説明してくれました。 私たちは一つひとつの線をじっくり目で追いながら、ふむふむと聞いていたけれど、山田さんは毎分3,500回転もする刃と数ミリの距離で対峙し、木目にも、道管にも、瞬時のうちに目を配り、滞ることなく、木を刃に送り込んでいるのです。


    山田さんがこの世界に入ったのは16歳の時。
     製材を始めたのは20歳を過ぎてからだそうです。
    山田さんは作業を続けながら、淡々とこうおっしゃいました。
    「木は全部、違いますから」

    手仕事らしい、温かみのあるフォルム


    「大割り」「小割り」の次はサンドペーパーで「削り」の作業が始まります。
    この工程は箸をつくる作業で、グラインダーという機械を使い一本ずつ削りながら成型します。

     持ち手の形状は四角形(胴張)、五角形、六角形とさまざま。繊細な箸先も含めて、山田さんは何角形だろうと、どんな形状だろうと、培った感覚を頼りに形をつくりあげていきます。

    削り終わった箸を手にとると、手仕事らしい、温かみのあるフォルムを感じ取ることができます。次に、「ガラ掛け」と呼ばれる、箸の表面を全体的に滑らかにするための工程に入ります。これは基本的に塗りの仕上げなどを行わない木箸作りの、大きな特徴のひとつです。

    簡単な機械を使って水と砂で研磨していくものですが、この「ガラ掛け」のおかげで、表面は気持ちいいほどつるつるに仕上がります。

    太陽の力も借りて

    「ガラ掛け」が終わると天日干しを行います。工場の屋根が箸を干す場所になっていて、屋根一面に6,000膳もの箸がずらりと並びます。
    この天日干しは「乾かす」ことが目的というより、「選別」が主たる目的のようです。


    山田さん曰く「この段階で曲が出ている箸は、すべてはじきます。
    特に天気の良い、カンカン照りの日なんかは、曲がりが出る箸はすごく曲がる。そんな箸は商品になりませんから」とのこと。


     大量生産のまるで工業製品のごとき箸は、機械で一気に強制的に乾かすその一方で、山田さんはお日さまの力を借り、時間をかけて乾かし、素材としての良し悪しを自分の目で一つひとつ確認する。
    木を挽いているとき、「木を見る」ことがある種、職人の大切な仕事のひとつでしたが、天日干しにおいても「木を見る」ことはとても大事な行為となるんです。
    山田さんの木と向き合う姿勢は、いつも、本当に誠実です。

    木そのもので、勝負する

    最後の仕上げは「バフ掛け」です。漆上げの場合また別の工程が控えていますが、この日は昔ながらの木箸らしい生地の箸を手がけていたので、天然由来のカルナバワックスを使って磨き上げていきました。


    木箸の特徴は何といっても、塗りなどの“加飾“をせず、木地そのもので勝負することです。だからこそ、木そのものが重要ですし、フォルムや手触りはごまかしがききません。ある意味、つくり手の技量と志がストレートに表れる箸だと思っています。木片は物語る工場の裏には、残念ながら箸になれなかった木片が、寒い日のストーブの薪としてうず高く積まれています。なかには銘木と呼ばれるような木片すら、無造作に転がっています。


    その木片の山を見るにつけ、今手にしている箸のありがたみをひしひしと感じます。
    180万分の一膳ですらおろそかにしない、山田さんの木箸職人としての気高き姿勢は、箸足り得なかったそれらの木片たちが、 密かに物語っているような気がします。