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箸と日本人 

お知らせ

2021.08.06

わたしたちの一生は「箸に始まり、箸に終わる」

日本人の赤ちゃんは生まれてから百日後の「お食い初め」 (箸初め)で、初めて箸に触れます。人生の終わりには、この世で口にする最後の水、すなわち「死水」を箸で含ませられます。

これらは「日本人の一生は箸に始まり、箸に終わる」と言われるゆえんでしょう。
子どもたちが食べるものに一生苦労しないようにと願う「お食い初め」の儀式から始まるその“箸人生“。初節句、七五三、成人式と続く、人生の通過儀礼を祝う場では、「祝箸」と呼ばれる箸が供されます。祝い箸として使われるのは、柳の白木箸。春先に真っ先に芽吹く柳は昔から縁起の良い木とされ、白く清浄で強い木であることから邪気を払う霊木として扱われてきました。

箸は生命の杖

前途した「死水」のほかにも、火葬の際の「骨揚げ」という儀式では、竹と木が1本ずつで対になった箸を使い、つまんだ骨を「箸わたし」で送り、骨つぼに納めます。日常で異素材の箸を対にして使ったり、箸渡しを嫌うのはこのためです。また、死者の枕もとに供える「枕飯」 (一膳飯)には、「立て箸」「一本箸」など、「葬」にともなう箸があります。


このように、箸は日本人の生誕から死まで付き添い、「晴れの日」にはその場にふさわしい箸が供され、「褻(ケ)の日」には木箸などふだん使いの箸が使われます。
改めて日本人の一生と箸の関わり合いを見つめ直すと、箸をして「生命の杖」と言わせしめるものも納得できるのではないでしょうか。

高橋隆太(2014)おはしのおはなし(WAVE出版) p.40-p.41